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【修正・追記あり】大気中のベクレル値をシーベルト値に換算(変換)――ラドン222やヨウ素131を吸入摂取した場合のシーベルト値の試算 

そもそも、生活環境のベクレル[Bq]値を単純に毎時シーベルト[Sv/h]に変換することには無理があるのですが、実は誰しもが最も知りたいことは、まさにこの点なのだと思われます。

一昨日の記事で、〈大気中のラドンは5Bq/m程度〉であることを示しましたが、温泉で有名なラドンやラジウムって、どれくらいの濃度なのでしょうか?

ラドン - Wikipediaによると、

ラドン温泉:Rn222(半減期3.8日)の濃度が74Bq/ℓ以上
ラジウム温泉:Ra226(半減期1600年)が1億分の1g/ℓ以上
※放射能療養泉と呼ばれるバドガシュタインのラドン温泉ではラドン222の濃度が110Bq/ℓ以上

であることが分かります。なお、Ra226はα崩壊してRn222になります。

また、Ra226は1億分の1gで364Bqに相当します。
cf.ベクレル - Wikipedia

さて、ここで疑問というか、押さえておきたい点が2つあります。


そもそも、α線とはヘリウム原子核のことで、言うなればHe2+イオンのことです。β線は電子ですからe、陽子線は水素原子核ですからHとも言えます(中性子線はそのままn)。

つまり、放射性物質は怖いですが、その結果出てくる放射線は、世の中に普通に存在するもので、特別なものではありません(中性子を除く)。ただし、α崩壊やβ崩壊に続いて出てくるγ線(電磁波)は透過力が強く、外部被曝の場合、むしろこちらのほうが防ぐのが難しくなります。

実際、α線・β線・γ線の遮蔽可能性はこんな感じです。

原子力防災基礎用語集:アルファ線(α線)

これを見る限り、放射性物質が”身体の中に入らない限り”、どうってことなさそうな気もしてしまいます。

例えば、マイナスイオンが身体にいい(らしい)のは、電子が酸化を抑制してくれるからです。ならば、森林浴ってどれくらいのイオン濃度なのでしょうか?
あるいは、イオン空気清浄機から出てくるイオンって何ベクレルくらいなのでしょうか?(マイナスイオン≡電子=β線≒電流)。要は、こういった粒子が1秒間に1個出てくれば1ベクレルになるわけですから。


閑話休題。先のwikiのラドンのページには、
〈これまでの疫学調査の基礎データを解析した結果、100Bq/m3レベルという比較的低いラドン濃度環境においても肺がんのリスクが有意に高く……〉
と書かれています。
〈大気中のラドンは5Bq/m3程度〉ですから、通常の20倍にあたります。

で、ここからが本題なのですが、〈100Bq/m3レベルという比較的低いラドン濃度環境においても肺がんのリスクが有意に高い〉のであれば、これが毎時何シーベルトに相当するかが分かれば、参考値になります。

内部被曝に於ける線量換算係数は、ここ↓を参考にするのがいちばんよさそうです。
≪内部被ばくに関する線量換算係数≫ - 緊急被ばく医療研修

実はこの表には、Rn222は記されていないのですが、Rn222は以下の順で比較的短いあいだにα崩壊を繰り返します(ただし、メインルート)。

Rn222→α崩壊(半減期3.8日)→Po218→α崩壊→Pb214→β崩壊→Bi214→β崩壊→Po214→α崩壊→Pb210→β崩壊(この律速段階の半減期は約22年)→Bi210→β崩壊→Po210→α崩壊(この段階の半減期は約4ヵ月)→Pb206(安定)
※他の半減期はすべて分単位か秒単位。

ということは、見なし半減期、約23年のあいだにα崩壊が4回起こることになります。

近似的に考えれば、100Bq/m3のRn222は、α崩壊する半減期23年の放射性元素400Bq/m3に相当します。
※β崩壊の放射線荷重係数はα崩壊の20分の1ですので、ここでは誤差と見なします。

先の表を見ると、半減期が比較的近く、かつα崩壊するのはPu238(半減期88年)です(Ce137はベータ崩壊)。
このPu238がα崩壊するとU234になるのですが、このウランは半減期が約25万年とかなり長く、ここまで長いとBq値は一気に小さくなりますからむしろ安全です。
cf.プルトニウム - Wikipediaの「利用」の項


よって、Rn222の実効線量係数を単純予測すると――

経口摂取を含めて、体内に留まる場合は、Ra226やPu238の5倍程度、約1.3×10^-6Sv/Bqと考えてよさそうです。

呼吸によって大気から吸入する場合はどうなるかというと、この場合は、半減期3.8日の放射性元素が、常時出たり入ったりするわけですから、第二段階以降のα崩壊のうち半減期が短い部分、つまり律速段階の手前までは同一環境内で連続してα崩壊が進行すると考えれば、Ra226やU238などの3倍程度(約2.7×10^-5Sv/Bq)と”推測”できます。


以下、各種資料の数値から逆算してみます。

経口摂取のときと吸入摂取のときとでは、「預託実効線量」の算出式が異なります(後者は探すのに”かなり”苦労しました)。
※下記の式は、先ほどのリンク先と違い、単位がμであることに注意!

●経口摂取のとき

預託実効線量(μSv)
 =摂取量(kg)×放射線濃度(Bq/kg)×実効線量係数(μSv/Bq)

・実効線量係数(μSv/Bq)
  Ce137: 0.013
  I131: 成人 0.016/幼児 0.075/乳児 0.14

●吸入摂取のとき

預託実効線量(μSv)
 =呼吸率(m^3/日)×日数(日)×大気中濃度(Bq/m^3)×実効線量係数(μSv/Bq)

・呼吸率(m^3/日):成人22.2/幼児8.72/乳児2.86

・実効線量係数(μSv/Bq)
  Ce137: 0.039
  I131: 成人 0.015/幼児 0.069/乳児 0.13


一方で、自然放射線 - Wikipediaによると、自然に存在するラドンなどの気体が微弱な放射源になる空気中からの被曝は年間1.26mSv、つまり3.5μSv/日に相当します。

よって、5Bq/m3のRn222からの吸入被曝が3.5μSv/日であるならば、その実効線量係数(μSv/Bq)は――

実効線量係数(μSv/Bq)
  =3.5μSv/日÷22.2(m^3/日)÷5Bq/m3
  =0.032(μSv/Bq)
  =3.2×10^-8(Sv/Bq)

となります。

予想に違い、Ra226やU238よりの2桁小さい数字でした。

ということは、Rn222によって肺がんのリスクが有意に高まるときの”1日あたりの”Sv値は、
1日あたりの預託実効線量(Sv/日)
  =22.2(m^3/日)×100(Bq/m^3)×3(倍)×3.2×10^-8(Sv/Bq)
  =21μSv

つまり、1日あたり、大気中から21μSv以上を受け続ける状態は肺がんリスクを有意に高めるということになります。これは年間の総量にすると、7.7mSvに相当します。

シーベルト - Wikipediaによれば、1日1.5箱のタバコを吸う喫煙者の年間の線量は+13~60mSv/年、1箱/日に換算しても+8~40mSv/年ですから、喫煙による肺がんリスクの最低値と同じくらいですね。なんとなくの納得感はあります。

高めの基準値との比較としては、電離放射線障害防止規則による放射線業務従事者(妊娠可能な女子を除く)及び自衛隊員・消防士・警察官が”1年間に”曝されてよい放射線の限度が50mSvですから、Rn222が
100Bqの大気下に1週間いるとこの限度値を超えます(それでも、この限度値は喫煙と同程度です)。

ということは、成人の健康被害に関しては、1日1箱の喫煙と同程度か高めの50mSv/年を基準にしておくとよさそうです。

逆に、平均的な環境下のRn222は5Bq/m3であり、この水準であれば、α崩壊の回数による倍率(=3)を考慮しなくてよいとすれば、通常時の1日あたりの預託実効線量(Sv/日)は以下のようになります。(年間1.26mSvになるのは逆算なのであたりまえですが。)

1日あたりの預託実効線量(Sv/日)
  =22.2(m^3/日)×5(Bq/m^3)×3.2×10^-8(Sv/Bq)
  =0.35μSv


では、最も気になるI131の大気中のBq値と預託実効線量の関係はどうなるでしょうか?

これも資料が少なく、やっと1件見つかった参考数値がここ↓です。
よくわかる原子力 - 原子力防災について ーヨウ素剤 Q & Aー

この Q3)に、
〈大気中の放射性ヨウ素が4,200Bq/m3 の場合、24時間その空気を吸入することによって小児甲状腺の被ばく線量が100mSvとなると予測されます〉
とあります。

わが国の場合、原子力安全委員会による「原子力災害時における安定ヨウ素剤予防服用の考え方について」には、

〈我が国における安定ヨウ素剤予防服用に係る防護対策の「指標」として、性別・年齢に関係なく全ての対象者に対し一律に、放射性ヨウ素による小児甲状腺等価線量の予測線量100 mSv を提案する。〉

とありますので、この100mSvを基準にします。

I131の場合、甲状腺に集中する性質が強く、全身くまなく被曝する場合に比べて、甲状腺濃縮率を考慮して安全ラインを計算しなければなりません。

100mSv=100000(μSv)=8.72(m^3/日)×1(日)×4200(Bq/m^3)×0.069(μSv/Bq)×甲状腺濃縮係数
∴甲状腺濃縮係数≒40

となります。つまり、甲状腺には全身平均の40倍のI131が濃縮されるということです。たしかにこれは、乳幼児には危なそうです。

最もシビアそうな乳児の場合、

100mSv=100000(μSv)=2.86(m^3/日)×1(日)×大気中濃度(Bq/m^3)×0.13(μSv/Bq)×40
∴大気中濃度=6720(Bq/m^3)

となりますから、6720Bq/m3下に丸1日いると、速やかにヨウ素剤を飲まないと危ないということになります。仮に半減期に相当する期間、同じ環境下にいると考えると、今この瞬間、1120Bq/m^3下にいて、その場に8日間留まったときのレベルです(新たなI131が投入されないとして)。

念のため幼児の場合は、

100mSv=100000(μSv)=8.72(m^3/日)×1(日)×大気中濃度(Bq/m^3)×0.069(μSv/Bq)×40
∴大気中濃度=4160(Bq/m^3)

実は、乳児より小児のほうが危ないんですね。乳児から幼児のさかいで呼吸量がぐんと上がる時期がいちばんシビアに影響を受けるということです。
これは同様に、今この瞬間、690Bq/m^3の大気下にいて、その場に半減期に相当する8日間留まったときのレベルです。

成人(とくに40歳以上)の場合、甲状腺にI131は濃縮されないと言われていますので、

100mSv=100000(μSv)=22.2(m^3/日)×1(日)×大気中濃度(Bq/m^3)×0.015(μSv/Bq)
∴大気中濃度=30万(Bq/m^3)

となり、圧倒的に数値が違ってきます(もはや甲状腺云々とは別の基準で考えなければならないレベルです)。いかにI131が乳幼児に特異的に影響を及ぼすかが分かります。


当然、具体的な数値は変わってきますが、経口摂取の場合もその傾向は変わりません。
ざっくり言うと、I131が含まれる特定の食品1kgを摂取したとすると、大気中濃度(Bq/m^3)の3分の1の数値がその[Bq/kg]に相当します。

つまり、乳児で平均2240Bq/kg、幼児で平均1390Bq/kgの食品を延べ1kg食べたときです。例えば幼児が、1400Bq/ℓの牛乳を1ℓ飲んでしまうとアウトです。

この点は重要ですが、人間の場合、1日に2ℓの水分が必要です。ここでは安全のため、大人も子供もそうかわらないとしましょう(実際、子供のほうが汗かきで代謝は盛んですので)。
そして、その水分を専ら、水道水と牛乳、清涼飲料水から得ていると考えると、平均的に700Bq/ℓ以上のI131がが含まれていれば、子供はアウトです。

よって、”子供からは”数百Bq/ℓ以上の飲料は遠ざけたほうが無難です。ただし、ヘンな話、I131に関しては、古い(採取から時間が経った)ものほど安全です(1週間後なら倍量までOK)。
逆に、大人は問題ありませんし、子供でも固形物に関しては同じものを一度に大量には摂取しませんので、1000Bq/kgくらいまでは許容できます。が、同じものを何日か続けて食べさせる場合は要注意です。

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