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アポロ11号は”月面”には行っていない!? 其の5 

アポロ11stは”月面”には行っていない!? 其の3
では、エネルギーの面で検討を加えましたが、今回は、その際に
中途半端になっていた燃料の量について考えてみたいと思います。

アポロの着陸船は燃料にAerozine50(MMHとUDMHの50:50の
混合物)、酸化剤に四酸化二窒素(N2O4)を使用していますが、
計算をより簡単にするため、以下ではまず、燃料として100%
UDMHが使われているものとします。

※MMH:モノメチルヒドラジン、CH3-NH-NH2
 UDMH:非対称ジメチルヒドラジン、(CH3)2-N-NH2


N2O4が酸化剤として理想的に働いた場合、反応式は
以下のようになります。

(CH3)2-N-NH2 + 2N2O4 → 3N2 + 4H2O + 2CO2

炭素や水素などであれば、それらの酸化物であるCO2
H2Oのほうが安定であり、故に酸化されて(燃焼して)熱が
放出されるのですが――燃えるとはそういうことです――
窒素の特徴として、酸化物より単元素分子、すなわちN2
ほうが安定であるという性質があります。

だから窒素は燃えないんですね。

高圧下でない限り、人体に悪さをしないのもそのためです。

因みに、窒素酸化物の中ではNO2の二量体、すなわち
N2O4のみ比較的安定で、常温では液体です。
(ただし、猛毒です。)

この反応で、失われる結合の数とその結合エネルギーは
以下のとおりです。
※数値は「共有結合と結合エネルギー:一口メモ」を
 参照しました。

ただし、N=O が表中にないため、C=O と O=O の中間値を
採用しています。

C-H 6 416kJ/mol
C-N 2 273kJ/mol
N-H 2 391kJ/mol
N-N 1 158kJ/mol

N=O 8 588kJ/mol
N-N 2 158kJ/mol

生成する結合の数と結合エネルギーは以下のとおりです。

N≡N 3 945kJ/mol
O-H  8 463kJ/mol
C=O  4 804kJ/mol

細かい計算過程は省略しますが、それぞれを掛け合わせた
総和について、右辺から左辺を引くと発生するエネルギーが
求められます。
(左辺の各積の総和は吸熱量、右辺は発熱量)

(CH3)2-N-NH2 + 2N2O4 → 3N2 + 4H2O + 2CO2 + 753kJ/mol

cf. CH4 + 2O2 → CO2 + 2H2O + 800kJ/mol

アポロ11号は”月面”には行っていない!? 其の3
で、着陸船の着陸、離陸と母船と同速度までの加速には
最低、4.33x10^7kJ のエネルギーが必要だと見積もられ
ましたので、これを753kJ/molで割ると――

UDMHは、5.75×10^4mol、N2O4はその倍が必要になる
ことになります。

1molの重さ(g数)は、それぞれの化合物の分子量
(UDMHは60、N2O4は92)に相当しますから、5.75×10^4mol
とこの数値を掛け合わせると

UDMH: 3.45t
N2O4:10.58t   合計:14t

になります。

「アポロ月着陸船 - Wikipedia」によると、燃料搭載時の
下降段と上昇段の合計重量は15.0tほどになっています。

体積にすると

UDMH:4.31m^3
N2O4:7.33m^3   合計:11.64m^3

一般的なドラム缶は200lですから、ドラム缶58本分にもなります。

どうも辻褄があわないですねぇ。

前提か計算式(定数)が拙い可能性もあります。


そこでこの量(重さ)が感覚値として正しいのかどうか、
確かめてみたいと思います。

アポロ11号は”月面”には行っていない!? 其の3
では、4.33x10^7kJ のエネルギーは175l の風呂を
2000軒分沸かす(10℃ → 40℃)ことに相当する、と
計算されていました。

先ほどの3.45t(UDMH)を2000で割ると、1725gになります。
つまり、UDMH1725gで1回分の風呂が沸かせるということに
なります。
(※この場合、酸素は空気中から供給されますので、N2O4
  考慮する必要はありません。)

片や、灯油で同じ容量の風呂を沸かすとすれば、必要な
灯油の量はどれくらいになるでしょうか?

資料によると、灯油1l が完全燃焼すると10500kcalの
エネルギーが得られます。
1l の水を1℃上げるのに必要なエネルギーは1kcal
ですから、

175l × 30kcal/l ÷ 10500kcal/l

を計算すると、500ccになります。灯油の比重は約0.8
ですから、約400gですね。

UDMHなら1725g、灯油なら400g。この2つの数値の比較に
於ける実感値はいかがでしょう?
(メタン:CH4なら160gです。液化天然ガスがいかに優れた
エネルギー源であることか!)

灯油はUDMHに比べて、分子内の水素原子の比率が高い
ですから、同じだけのエネルギーを得るために必要な
重量はより軽くて済むはずです。

よってオーダー(桁)としては、いい線まできていると判断しました。

以上は、燃焼効率100%かつエネルギー変換効率100%
のケースです。

熱エネルギー ⇒ 運動エネルギーの変換効率が50%
であれば、必要な燃料および酸化剤の量は倍になります。

それほど参考にはなりませんが(推進方式がまったく
違っているので)、自動車のエネルギー変換効率は
約75%と言われています。

それとの比較で考えると、必要量は14tどころか、
20t以上にはなりそうです。

ほかにも必要量が増える要素はあります。
例えば、冒頭に挙げた反応式

(CH3)2-N-NH2 + 2N2O4 → 3N2 + 4H2O + 2CO2

ではなく、

(CH3)2-N-NH2 + 4N2O4 → N2 + 8NO + 4H2O + 2CO2

となれば、どうなるでしょうか?

実は、完全にこうなってしまうと、先ほどの数値を使った
計算では吸熱反応になってしまいます(-1611kJ/mol)。

おそらく実態はこの中間、N=Oの結合エネルギーは
もう少し小さいのかもしれません。
とは言え、必要な燃料の重さの桁がひとつ落ちるような
ことにはならないのではないかと。

せめて、アポロ着陸船の乾燥重量が分かれば、別の角度からの
考察ができるんですが……。

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